歯科矯正治療の医療費控除について

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

矯正治療は保険適用となる症例が限られ、原則的に自由診療のため全額自己負担となります。しかし、矯正治療も「医療費控除」の対象となれば、確定申告で支払った税金の一部が戻ってきますので、適用できるものは利用すべきです。

医療費控除とは
自分や家族のために支払った医療費等の実質負担額が、年間(1~12月)10万円(所得金額が200万円未満の人は「所得金額×5%」の額)を超えた場合、その超えた金額をその年の所得から差し引かれるというもの(所得控除)です。ただし、控除できる金額の上限は200万です。

 

1.矯正治療で医療費控除が適用されるケース
・子どもの矯正の場合
子どもの矯正は、基本的に無条件で医療費控除の対象となっているようです。発育過程にある時期の歯並びの矯正は、その後の歯やあごの正しい成長を促す治療行為として、必要だと考えられているからです。
その対象の年齢要件には何歳までと明確な基準は設けられていません。一般的には中学生くらいまでのようですが、その判断は各管轄の税務署に委ねられているので、税務署に確認する必要があります。

・成人の場合で、機能障害の診断がつく場合
大人の矯正治療では、咀嚼や嚥下、発音など口腔の歯の機能としての問題が生じているケースです。具体的には、噛み合わせが悪いことでうまく咀嚼できていないとか、歯並びや歯列の大きさの問題があり、発音に影響を及ぼしているといった場合などが挙げられます。

 

2.還付金はどのくらいか
・医療費控除の計算式
医療費控除額(上限200万円)=1年間の医療費-(保険金などの受給額+10万円)

・還付金の目安
還付される所得税の目安=医療費控除額×所得税率

 

3.医療費控除の対象となるもの
・矯正治療にかかった費用(検査・診断料、装置代、処置・調整料など)
・医師より処方された治療に必要な医薬品の費用
・通院のためのバスやタクシー、電車など公共交通機関の費用(マイカーでのガソリン代や駐車場代は対象外)

1月から12月までの1年間の医療費合計が10万円以上(所得が200万円以下の場合は所得金額の5%)であれば医療費控除の対象となります。金額を証明する領収書などが必要なので、すべて大切に保管してください。
※矯正治療の費用だけでなく、病気やケガなどで病院や診療所で治療した医療費も含めて申告できます。

矯正治療費のローンに対しても控除対象となるので、申告の際には支払い明細が必要になります。ただし、ローンが年をまたぐ場合には別の年に申告する必要があり、ローンの手数料に関しては控除の対象外となっています。

 

4.医療費控除を受けるための手続き
確定申告によって行います。支払った税金から還付されるため、所得税を納めている人が対象です。一人暮らしで住居が別の場合や、夫や妻が扶養から外れている場合でも、生計が一緒であれば医療費を合算してどちらからでも申告できます。
共稼ぎの場合には、収入の多い方で申告した方が還付金が高くなります。

必要書類
・歯科医の診断書
・矯正治療費の領収書(ローンの場合、契約書や明細書)
・通院に関わる交通費の領収書

申告し忘れても治療から5年以内であればさかのぼって申告することができます。控除の申告は確定申告の提出期間によらずいつでも受け付けているので、管轄の税務署に相談してみましょう。

 

自費診療となる矯正治療でも医療費控除の対象となれば、治療費を減額することが可能です。控除対象となるのか歯科医や税務署に相談してみるとよいでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。