矯正治療で歯を動かすしくみ

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歯科矯正にご興味をお持ちなら、歯の矯正とはブラケットという装置を取り付けてワイヤ―で歯を動かし理想の歯並び・咬み合わせに近づける治療だということをご存知の方は多いでしょう。では、なぜブラケットで歯が動くのでしょうか?そもそも歯は動くものなのか、どうして動くのか疑問に思いませんか。

ここでは、より安心して治療を選択していただけるよう、そのしくみについて説明します。

 

【矯正治療に重要な役割を果たす歯根膜!】

歯の周りには歯を支える骨(歯槽骨)があります。そして、その骨と歯の間には歯根膜という弾力のある繊維の膜があり、歯が歯槽骨にくっついています(懸架組織)。歯根膜は厚さ1mmにも満たない薄い膜ですが、弾力があり歯にかかる衝撃をやわらげるクッションのような役割を持つと同時に、矯正の際には歯が動くために重要な役割を果たしています。

ブラケットを取り付け、歯に圧力をかけ続けると、その力は歯根膜に伝わります。圧力をかけている側の歯根膜は圧迫されて縮み、その反対側は引っ張られて伸び、軽度の炎症状態となります。すると、歯根膜は常に一定の状態を保とうとする性質を持っているので、縮んだ歯根膜は元の厚さに伸びようとして、骨を溶かす細胞が出現し、スペースができます。伸びた方は元の厚さに縮もうとして、造骨細胞が骨を作ります。このように、歯根膜がもとの厚さにもどろうとする性質を利用して歯を動かします。人間の体の不思議です。

 

【歯が動くスピード】

上記の通り、ブラケットによって長期間続けて一定の圧力をかけ続けることで、歯を動かします。矯正の場合、歯の移動は1ヶ月に0.5mm~1mmほどが適切だと言われています(至適矯正力)。矯正治療の期間は人によって大きく異なります。それは元の歯並びが違うことに加え、上記のしくみで歯が動くスピードが年齢や人によって違うからです。

 

【歯を動かす=歯科矯正】

もっとも一般的な歯科矯正治療は、ブラケットという装置を歯に取り付け、そこにワイヤーを通して歯に圧力をかけ、歯を動かすというものです。ブラケットに通したワイヤーが元の形に戻ろうとする力が歯に圧力をかけ続けます。実際には最初にセットしたワイヤーをつけっぱなしではなく、ワイヤーの弾力性や形状などを月に1回ほどずつ調整しながら、徐々に歯を動かし理想の歯並びに近づけていくものです。柔らかく細いワイヤーから、固くて太いものに変えていきます。

歯科矯正は人間の生体の反応や仕組みを利用して行います(バイオメカニクス)。

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